悪役令嬢はお断りします!~二度目の人生なので、好きにさせてもらいます~
 オレンジと紫のグラデーションで染められている空の下。
 私は自宅近くにある公園のベンチに座っていた。
 日中は小学生が元気に遊ぶ声が響いているけれど、彼らが帰宅した今は、私のように仕事終わりの人がアイスコーヒーを片手に休んでいたり、犬の散歩をしたりする人しかいない。

 そんな夕方の閑静な公園の雰囲気が好きだ。

 私は手にしている手のひらサイズのノートを見つめながら、表情を緩ませていた。
 いったいなにを見て幸せに浸っているのかといえば、長年の夢であるカフェの開店資金の調達計画だ。

 罫線ノートの上部には【目標! カフェの開店資金六百万円(私は三百万円)】という文字がうかがえる。それから、その下には一月から十二月までの日付が六年分記入されている。
 日付の下には月々の目標貯金額があり、金額の上には【達成】と赤いペンで上書きされている。

 今月……六月は未記入のままだけれど、二十五日の給料日には達成という文字が記入される予定だ。
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