その手をぎゅっと掴めたら。
そのまま早足で彼が教室を出て行こうとすると、ガタッと、音が響いた。
英知くんが勢いよく立ち上がり、後ろで椅子が倒れている。
その音に葉山くんも振り返った。
「北斗さん!」
そこまで広くない教室で英知くんが叫ぶ。
「いつまで"悲劇のヒーロー"でいるつもりですか!?」
彼の怒号に、葉山くんの顔が引きつる。
「……」
「……」
葉山くんは返事をせず、天を仰ぐ。
それから何も発しないまま教室を出て行ってしまった。
「……」
残された3人は沈黙に包まれた。