悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
「はぁ……」
「大丈夫?」
「へ、へいき、です……」
みんながいる教室からは少し離れた場所まできて、ほっと息をはいた。
あの人が美化委員だったなんて……。
人を見た目で判断するのは良くないけれど、意外すぎて。
というか顔、覚えられてたんだ……。
「あの男のこと、気になってる?」
「へっ?ど、どうして?」
「なんか思い詰めたような顔、してるから……」
「あっ、いや……ちょっと、怖かっただけ、だから」
同級生の男の子と話すのでさえ緊張するのに、それが年上なら尚更で。
「漣くんが、いてくれてよかった……」
そうじゃないとわたし、あの場で固まるしかできなかったから。
「はー……さっさと終わらせて帰ろ。
かわいいがすぎる」
「ええっ!?
い、いまのどこがかわいい……」
「ぜんぶ。
ほら、いくよ」
「あっ、う、うん……っ」
腕を引かれて、せっけんを取りに保健室まで歩く。
あ、耳……。
ちらりと後ろから見えた耳はほんのり赤くなってて、思わずクスッと笑ってしまった。