悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


「っ、かわいい……」


今度はクルッと体の向きが変わって、正面から。


「海凪」


「っ、」


「名前でよばせて」


「だっ、だめですっ」


「なんで」


「っ、はずかしいから……」


今もそう。

やけどしそうなほど、顔が熱くて。

かんっぜんに見られてしまった。


こんな熱烈な告白されて、ドキドキしない人がいたら見てみたい。


「なら、もっとよぶ。
海凪、海凪、海凪……」


「わっ、分かりましたっ!
もう、やめて……」


「おっ、降参?」


ゆっくり体を離して、フッと微笑む。


なんてずるい人。

わたしが照れてるって分かってて、確信犯。


男の子に下の名前で呼ばれるのは初めてだから、もっと恥ずかしくてくすぐったくて。


「俺と付き合ってくれるってことでいいね?」


「……はい」


ぼそっと出た声はめちゃくちゃ小さくて。


「んー?なんて?」


「もっ、もう言わないっ!」


色々キャパオーバーすぎて、ふいっと顔を背けたら。


「ひゃっ」


フッと耳に息をふきかけられた。


「さっそく俺からよそ見なんて、もっともっと海凪って呼ばなきゃだめだね」


「もう、勘弁してください……っ」


ううっと両手で顔を覆ったら、


「かわいすぎ」


めまいがするほど甘い言葉が降ってきた。
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