悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
──────────


「ほ、本当にごめんなさい……!」


「いいよ。
ぜんぜん」


あれから教室に戻ってきたわたしたち。

ここに来る途中で、たまたま委員長さんとばったり会って。


『あのバカから話は聞いた。
ほんとごめんね、迷惑かけて。向坂さんには二度とちょっかい出さないよう、俺から厳しく注意しといたから安心して。仕事も終わらせてくれてるし、帰ってくれて大丈夫だから』


今日は忙しいのに、ありがとうね。


そのお言葉に甘えて、帰ることに決めた。


「こ、これ、タオル使って……!」

「いいよ。
大丈夫」


教室に戻ってきてからというもの、七流くんの口数はいつもより何倍も少なくて。


さすがにやりすぎてしまったと、心の中で深く反省する。


「……」

「……」


教室にはわたしたち以外、誰もいない。

ふたりきりで居心地がいいと思えるはずのこの空間も、今は空気が重くて。


「ごめんなさい……」


明らか静かな七流くんは、怒ってるようにしか見えない。
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