月の光に響く時
が、力を得た律鬼さんの方が速かった。

一瞬で桜鬼の刃を交わし空へと飛んだ。


「!!」


ドドドンッ!!!!


手を振りかざすと、桜鬼や誉、豪鬼さんに向かって爆発を起こした。

庭はめちゃくちゃだ。家の玄関先も破壊され扉は粉々になっている。


「ちっ・・律鬼いぃぃ・・・」


「桜鬼様、今はヤバいっス!!力に差があります!!」


「分かってる!!!」


「それにこのままじゃ姫様の家が・・」


と、どうするか算段を練っている間に律鬼さんは余裕の笑みを浮かべる。

桜鬼は歯ぎしりしながら律鬼さんの様子を伺う。


「一旦、引く」

「え!?」

「律鬼の事だ。沙夜には手出しできない」

「ですけど・・」

「今は無理だ」


桜鬼は潔く諦めの体勢になった。

それを見て苦笑しているのは豪鬼だ。


「おいおい、どうしたんだよお前らしくねえな」

「お前に言われたくねえ。今の律鬼をぶちのめせるのならやって欲しいくらいだ。豪鬼」


「フフ、まあー・・無理だなありゃ。異常にオーラを身に纏ってるぜ」


豪鬼も悟った様に笑った。


「隙を伺うしかない」

「そうだな。どうせ俺達の帰る場所なんざ、自分の城しかねえし」



と、二人が会話しているのを律鬼さんは全部聞いている。


「俺の勝ちだな。帰るぞ、奏」

「御意」


木の陰に立っていた奏と共に律鬼さんはそこから姿を消したのだった。
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