月の光に響く時
「お母さん!!!」


ぎゅううっ!!

とお母さんの胸に飛び込んだ。


「んっ!!」


すると突然信じられない事が起きた。

急にお母さんが私の唇を奪った。


え!?お母さんじゃない・・の!?


「んんっ・・・っ!!」


スウウウウッ・・

一気に体から力が抜けて行く。

この感覚は前に味わったことがある。

私、精気を吸われているんだ。


「無事で良かった・・沙夜」


「あ・・」


声が変わって、すぐに理解した。


「律鬼・・さん・・」


母の姿が瞬く間に変貌した。

そして律鬼さんが目の前に現れた。

お母さんに化けていたの?それとも幻覚を見せていた?

切なそうな顔をしながら、もう一度律鬼さんは私の唇を奪った。


「少しだけ。許せ」

「・・っ・・・・ン・・」


更に私の力を奪っているらしかった。


そんな・・じゃあお母さんはどうなってるの?

家の中は・・?

色々脳裏に溢れてきたが、力を奪われた私はそのまま律鬼さんに抱き上げられながら意識を失ってしまった。



「律鬼ーーー!!!てめえええっ!!!」


遠くで気が付いた桜鬼が律鬼さんに刃を向ける。

即座に地面をひと蹴りして空を駆ける。
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