和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 その後も毎日のように遅くまで新作の和菓子を考案していた。
 華京院様と一緒に作ったり、意見を出し合うのは、
本当に楽しかった……。

こんな時間が、いつまでも続けばいいのにと思った。

 そして2ヶ月後の7月7日。
ベリーヒルズビレッジの七夕祭りが行われた。
 オフィスビルに働いている社員やレジデンスに
住んでいる住人ばかりではない。

普段は、敷居が高いと言われなかなか来られない
一般客も大勢集まるらしい。
 テナントの他にも通り道に屋台もいくつかあり
夕方になるとたくさんの人が集まり出した。

「うわぁー凄い。素敵だわ」

通り道には、屋台の他に提灯や笹がたくさん飾られていた。
笹には、短冊でお願い事も書ける。
 浴衣姿の親子連れや恋人同士で来ている人も居た。

「さぁ、これからが稼ぎ時よ。蓮も準備は出来た?」

女将さんがそう言うと華京院様が奥から出てきた。
 すると周りに居た女性客や通りすがりの女性達から
黄色い声援が飛んできた。

それもそのはずだ。華京院は、着物を着ていた。
 濃紺の着物なのだが、とてもよく似合っていて
大人の日本男子とでも言うのだろうか?
着物から見える肌や雰囲気は、妖艶な色気が出て素敵だった。

「久しぶりに着るな。着物は……」

「か……蓮様。お似合いです」

華京院様も着物は、着なれた感じだ。
 手伝っていたと言っていたし、こんな姿で
お店に出られたら注目の的だろう。

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