医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…

半年前 圭介に誘われた時 

私は 躊躇せずに 付いて行った。


私は 圭介に特別な感情は なかったけど。


それなのに あの日…


夕方 撮影が終わって。

圭介と一緒に 食事をして。


「涼子 太らないよね?」

「そう?これでも 結構 気をつけているのよ?」

「ハハハッ。気をつけている人は パスタなんか 食べないって。」

「あぁ…でも これ 和風パスタだから。きのこも カロリー低いし。」


「涼子って 面白いな。最近 表情も良いし。幸せが 顔に出ているのかな。」

「そう見える?」

「うん。違うの?」


「違わないけど…色々あるの。これでも…」

「へぇ。驚いた。そうなの?」

「結婚って そういうものでしょう…?」


私は 何故 圭介に そんなことを 言ったのか。

幸せそうに見えるなら それで良かったのに。



その時の私は 物欲しそうで 隙だらけだったはず。


「ねぇ 涼子。これから 結婚について 話そうか?静かな所で。」

「エッ?圭介 私を誘ってるの?」

「うん。涼子が 何か 悩んでいるなら 取り除いてあげないと。」

「何で そこまでするの?」

「涼子だからだよ。」


私は クスッと笑って 頷いていた。

少し飲んだ ワインのせいにして。


もし それで 心のモヤモヤが 晴れるなら…


京一を 裏切ることだって わかっていたけど。

その時の私には 必要な時間に 思えてしまった。






< 31 / 76 >

この作品をシェア

pagetop