医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…

こんな風に お互いの思いを 

語り合ったことは なかったから。


私達は 4年も 一緒にいて

お互いに 手探り状態だった。


「俺 涼子のために 何もしてやれなくて。いつも 心苦しかった。それなのに 涼子は 文句一つ言わないで。いつも 俺に 笑顔で接してくれて。家のことも すごくよくやっていて。実は俺 涼子の本心が わからなかったんだ…少し。」

「えっ?どういうこと?」

「涼子 本当は すごく我慢してて。いつか 爆発するんじゃないかって。このままじゃ 俺は 涼子に捨てられるって。本当は すごく怖かったんだ。」

「嘘っ!?私も…私って 京一さんに 必要なのか すごく不安だった。私は 京一さんに してもらうばっかりで。京一さんのために 何もしてないから…」


「そうだったの…?俺達 馬鹿だなぁ。もっと早く ちゃんと話せば よかったね。ボストンから戻って 空港で 涼子を見た時 俺 決心したんだ。」

「んっ?どんな?」


「俺が 一番大事なのは 涼子だって。これからは もっと涼子と 一緒にいようって。」

「私も…実は 私も あの日 決心して 空港に行ったの。私 これからもずっと 京一さんの 側にいていいのか ちゃんと聞こうと思って。でも 京一さん あの日 私の寂しさを 受け止めてくれたから。信じることにしたの。」



京一のことは 信じていたけど 

私は ずっと 不安だった。

京一も 同じように 不安だったなんて…


私は 体中から 迸る愛しさで

京一の首を 胸に 抱きよせた。


「ンッ?涼子…?」

「ううん。少し このままでいて…」


言葉で 伝えることって こんなに大事なのに。


自分が 言うことも 京一に 聞くことも できなかったから…


「涼子……愛してる…」


京一は 私の胸に 顔を付けたまま

小さな声で ボソッと言った。


初めて…  ” 愛してる ” って 言ってくれた。

胸から 溢れ出す 幸せと愛おしさに

息苦しくなるくらい 私は 感動していた。







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