政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「裸のまま?」
「あ、いえ、咄嗟にバスタオルを掛けてありますが」
確認してからバスルームに突入。大地改め、菜摘はバスタオルを掛けられた状態でフロアに倒れていた。
バスタオルがはらりと落ちないように彼女を慎重に抱き上げ、部屋に連れていく。美代子が菜摘のベッドにべつのバスタオルを敷き、その上に彼女を横たえた。
「美代子さん、悪いけど彼女の体、拭いてやってくれる? 俺がやるわけにはいかないから」
「しょ、承知いたしました」
事態を飲み込めないまま、美代子が菜摘の体を拭いていく。
その間、理仁はベッドに背を向けて待った。
「理仁様、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか」
美代子は一応そう断って続けた。
「もしかして、うちにいらしていたのは大地様ではなく菜摘様だったのですか?」
「美代子さんは気づかなかった?」
「ええ、まったく」