政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「……え?」
「ずいぶんとお風呂が長いなと思っておりまして、ワインを飲まれていたからちょっと気になってお声をかけてみたんです。そうしたらなんの返事もなくて」
話が違う方に向かっていく。
まさかという思いで、理仁は焦って「それで?」と美代子を急かした。
「バスルームで大地様が倒れていらして」
理仁はグラスを慌ててテーブルに置き、弾かれたように立ち上がった。
「それを先に言ってくれ」
急いでバスルームに向かう理仁の後を美代子も追ってくる。
「ですが、理仁様! 大地様はなぜか女性で……!」
彼女は、なにがなんだかわからないといったパニック状態だ。
ドアが開けっ放しになっていたパウダールームに入り、追いついた美代子に振り返る。