政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「じゃあ、日高理仁と結婚するのか?」
大地がメガネの奥で目を鋭くさせる。
農園は理仁の助けなしに成り立たないと示されたが、さすがに即答できず言葉に詰まった。
「ねえちゃん、あの人のこと苦手だって言ってたもんな」
大地の言う通りなのである。
理仁とはミレーヌが主催するパーティーで会ったり、彼が農園に来たときに対応したりしたが、自信に満ち溢れたオーラには引け目を感じるし、強引なところにも躊躇してしまう。
さっきだってそう。突然抱きしめるなんて反則だろう。しかも余裕綽々なのだから。
スイーツ王子などとマスコミにもてはやされるような人は、ひっそりと農園で暮らしてきた地味な菜摘とは生きる世界がまるでべつ。
大好きな祖父の大事な農園を守りたい気持ちは強いが、そんな男との結婚生活が菜摘はどうしても想像できない。
なにしろ愛も友情もない相手なのだ。一番肝心な愛をなくして、結婚がうまくいくとはどうしても思えない。両親の仲が良かったため余計にそう思ってしまう。