政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「ねえちゃんが結婚したくないっていうなら、する必要はないと思うけど。日高理仁と付き合っていたのならともかく、いきなり結婚なんて幸せになりっこない」
大地の言うことはもっともである。
「でもね……」
最初に理仁から結婚を提示されたときには絶対ありえないと思ったが、和夫の気持ちを考えると完全にノーと突っぱねられない。和夫は、なんとかしたくて理仁にすがりついたのだろうから。
一緒に暮らすようになってから、和夫が農園をどれだけ大切にしてきたかを見てきた。ファインベリーの開発を人生最後の目標にしてきたのも知っている。
その成功に全身全霊をかけてきたのに、品種登録完了を前に農園を手放すなんてあまりにも酷だ。
両親を亡くしてからこれまで、菜摘も大地も和夫に愛情たっぷりに育ててもらった。困ったことがあれば真っ先に相談するのは、いつだって和夫だった。どんなときにも誠心誠意、対応してもらってきた。
そんな和夫の夢を菜摘が摘んでいいわけがない。
「農園をこのまま潰せないよ」
和夫が存続を願っているのならなおさら。