政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「ねえちゃんがいてくれてほんとよかった。俺ひとりだったらどうなってたんだろうって、ときどきふと考えるよ」
「私もそう。大地がいたからなんとかやってこられたんだと思う」


自分が大地を守らなきゃという使命感に似た想いがあったから強くなれた。そのときは必死だったから、今思い返せばそうだったなという回顧に過ぎないが。


「今の会話、じいちゃんが聞いたら怒るだろうな」
「たしかに。〝じいちゃんを忘れるな!〟ってね」


大地と顔を見合わせて笑い合う。ふたりが今こうして笑っていられるのは、もちろん和夫の存在があってこそ。ふたり揃って肩をすくませる。


「けどさ、これからこの農園はどうなるんだろうな」
「借金のこと?」


その心配なら、ほぼなくなるだろう。


「いや、そうじゃなくて。じいちゃんだっていい歳だし、ねえちゃんが家を出たら将来的にどうなるのかなって話」
「あ、そういうことか」
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