政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「負債? ……多額の?」


理仁は噛みしめるようにゆっくりと頷いた。

寝耳に水だった。農園がそんな事態に陥っているなんて初耳だし、和夫から聞いてもいない。
大地と揃って唖然と理仁を見つめた。

理仁の言うようにファインベリーは和夫が開発を手がけた新しい品種のイチゴである。四季成りといって、通常は実をつけない夏から秋にも収穫できるイチゴだ。
冬から春にかけて出回る一季成りに比べて、四季成りは糖度が低く味もあまりよくないものが一般的。そのため和夫は、十年前から甘くておいしい四季成りイチゴの開発に取り組んできた。

それが見事成功し、農林水産省へ品種登録を出願中の段階である。申請から間もなく二年が経過し、そろそろ認可の通達が届く頃だろう。

開発にお金が必要なのは菜摘にも想像がつくが、多額の負債を抱えているとは知らなかった。経営の帳簿などを管理しているのは和夫ひとり。経営に行き詰まっている様子はなく、借金とは程遠い健全経営だと勝手に思い込んでいた。

現在和夫が作っているイチゴは関東圏では広く出回っている一季成りの品種で、味も品質も抜群だと評価が非常に高い。とくに都内の小売店では人気がある。
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