政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

◇◇◇◇◇

理仁が帰ったのは、それからさらに三十分ほど農園を案内した後。見送りを終えたときには、緊張したせいかどっと疲れが出た。


「おじいちゃん、無事に終わったよ」


茶の間として使っている和室で座椅子に座って寛いでいる和夫に報告し、グラスに注いだ麦茶をふたり分テーブルに並べる。外が蒸し暑かったため、クーラーの効いた部屋は気持ちがいい。


「お疲れ様。とくに問題はなかっただろう?」
「うん。ひと通り説明してなんとかね」


理仁がその説明をどう思ったかはべつとして、菜摘ができる最大限の仕事はできたと思う。


「ファインベリーのことまで知ってたよ」
「どこからか漏れ聞いたのかもしれないな。一季成りイチゴが出回らない時期は、どうしても輸入品に頼る部分が大きいだろうからね。国産に移行したいんだろう」


品種登録を済ませて一年。現在は農林水産省が栽培実験を行っている。それが済んで承認されれば、和夫が育成者として登録され、いよいよファインベリーを出荷できる。
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