紅に染まる〜Lies or truth〜


・・・退屈


この学校で私に声を掛ける生徒はいない


それは、家業がバレた訳ではなくて
ひたすら地味に空気と化して過ごしているから

同じクラスの子も
私が欠席しても気が付かないかもしれない

目立たないように
休み時間は只々読書に没頭して気配を消す

関わらない方が
委員や係、付き合いで出かけるなんて拷問を受けずに済む

こちらから仕掛けた特殊壁のようなもの


そうやって1年半が過ぎた

残り1年半も同じようにと願っていたのに


お昼休みに屋上でお弁当を食べていた私に



「ここ、座っていい?」



返事をする間も無く
ドンと隣に腰掛けたのは

シルバーグレーの瞳と髪色を持つ
妙に馴れ馴れしい奴だった



「ねぇ、寒くない?」


「・・・」


「良いお天気だけどさ」


「・・・」


「これじゃあ昼寝したら凍死だね」



返事すらしない私とまるで会話しているかのように

時折クスクス笑ったりして楽しげに話す奴


・・・ウザっ


「2ーA田嶋 愛、成績優秀」


「・・・」
だからどうした


「入学して1年半スタイル変更なし」


「・・・」
新手のストーカか?


「友達もなし」


「・・・」
もしかして


「演じているのは空気のような地味子」


「・・・チッ」


「ククク、やっと反応してくれたねっ」


「俺、工藤颯《くどうはやて》」


「・・・」


「よろしく」



ニコニコしながら首を傾けた












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