紅に染まる〜Lies or truth〜


午後からの退屈な自習タイムは
眠気と戦いながらどうにかやり過ごした

今までクラスのメンバーに興味もなかったけれど

ほんの少しだけ
観察してみようと思ったのは

最後のSHR


・・・窓際の一番後ろの席で良かった


そう思いながら常に俯き加減の視線を解放する


「・・・ッ」


だいたい違うことをすると
ろくなことがない

対角線上
廊下側の一番前の席にワンコ

耳を立ててブンブン尻尾を振っているようでムカつく

ほんの一瞬だけ
眉間にシワを寄せて

諦めたように机に視線を戻した

数分でそれも終わり
チャイムが鳴ると教室がざわつき始め

それに隠れるように後方の扉を目指した

スッとスライドさせた扉の先に
待てのワンコ颯


「・・・チッ」


「一緒に」
そう言って口元を緩めた

途端にすぐ後ろから


「「キャーー」」


黄色い声が上がった


「「颯くん一緒に」」


挟まれた私なんて気にならないような
続く黄色い声に

ヤバイと警笛が鳴る

ワンコの横をすり抜けながら


「ここで関わったら殺す」


ひと睨みでそう呟くと
ローファーの音を立てながら
小走りで階段を駆け下りた


「アイツ」


アイドル顔でワンコ系男子なんて
モテる要素しかない
180は超えているであろう身長と
制服の上からも鍛えられた身体のラインが色っぽい

そんな奴なら女子高生が放っておくはずもなく

それに関わる要素はイジメの対象になる

・・・後、一年半


込み上げる苛立ちを隠さず
勢いそのまま

裏門に横付けされた
フルスモークのベンツに乗り込んだ





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