紅に染まる〜Lies or truth〜



生まれて初めて西の街を出てみたことで
手にした解放感は


思っているより心が不自由で


身体は此処に居るのに
心は真逆に居る


考えれば考えるほど
身体に鉛が入れられたように重くなる



何かが・・・違う気がして


何かが・・・足りない気がして


その何かが・・・見つからない



頭の中で消化出来ない疑問は
後から後から溢れてくるけれど


その疑問を探りたいと思う気持ちを
口に出せないのは

なぜだろう

泣き出しそうに不安定な気分が

冷静で居続ける私の感情を混ぜる



これは・・・なんだろう



心が軋んだ一平とのシーンが
今更ながらに胸を締め付けて離れない


ここに居る状況が作っている感情ならば
二週間後にまた答えが出るはず

それを

今の私は

知りたくて

・・・知りたくない




尋に触れている指先から伝わる熱



揺れる感情を誤魔化すように外した


「もう、寝るね」


キングサイズの大きなベッドに
出来るだけ邪魔にならないように壁際に横になる



「おやすみ」



尋の返事を聞く前に
シーツを頭から被った




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