紅に染まる〜Lies or truth〜
始末


Xデー当日
双子と一緒に密かに西の街へ戻っていた


要塞に閉じこもると
仕掛けを解放した



テレビ局の地上波を全てジャックし
南に蔓延る膿を曝け出した



街を揺るがすような大スキャンダルに
ジャックを止めようと対処に追われていたはずのテレビ局が動きを止めた頃



配置していた目から
次々と確保の情報が入る



それらを確認すると
携帯の電源を入れた



【大澤碧斗】



ゆっくりと指をスライドさせると
コール音が鳴る前に組長の声がした

(俺だ)

「終わりました」

(よくやった)

「捕まえた輩の処分は」

(全部こっちでやる)

「わかりました」

(なぁ愛)

「はい」

(少し話せるか)

「はい」

(また連絡する)




終話ボタンをスライドすると
双子と目が合った


「凄げぇ」


巧の視線の先にあるテレビは
特集が組まれこちらが出した映像を流し続けている



死ぬことすら選べない程
羞恥を晒した映像



失脚、引退、失職・・・



南の街の窓口 芝浦尚也は
指名手配のリストに入った


「警察に捕まった方が幸せよね」


既にこちらが押さえている身柄
締め上げて沈められる運命



「どこまで吐くか・・・」


「親戚身内全て確保したから」


「凄げぇ」


「芝浦は存在しない」



記憶からも記録からも綺麗に消す
現実的ではない恐怖を
今頃味わっているはず


「フフッ」


数時間で情勢を動かした達成感に
緩む口元が楽しげな声を上げた














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