紅に染まる〜Lies or truth〜


どのくらいそうやっていたのか


手に持った炭酸水のボトルが
水滴も落として冷たさを失っていた

飲む気をなくして
ゴミ箱に放り込む


「愛っ!」


公園の入り口で大きな声がした

砂地を走ってくる音と
焦った顔が近づいて

クスッと笑ってしまった



「なにがおかしい」



目の前に立った尋は額に汗が浮かんでいて


ここにたどり着くまでどれだけ歩いたのか想像できる



「過保護」



そう言って見上げると


「あぁ」と表情を緩めた



「紅太に会った」



「あ゛?」



「ここで少し話したの」



「なにもされなかったか?」



合わせた視線は探るように揺れていて
尋の焦りが伝わる



「話しただけよ」



「・・・そうか」



眉を下げた尋の手を取ると
僅かに目を見開いた



「帰る?」



「あぁ」



手を繋いで公園を出ると
尋と同じように汗を浮かべた
巧、海輝、圭介が立っていた



「過保護ね」



「煩せぇ」



一番余裕の無い顔をした巧は
繋がれた手を見て漸く笑った



「お前等地球温暖化にひと役買ってるな」



大きく笑った巧につられて
海輝と圭介も漸く笑った



「尋だけペアみたいで狡りぃな」



巧の指摘は尋と私の格好にある



ラフなスタイルを真似するように
同じダメージジーンズとスニーカーを履いた尋



確かにペアルックのようでもある



それを嬉しく感じるのは
隣に立つ尋が与えてくれる仲間としての居心地の良さなのかもしれない


「ほら」


もう片方の手を巧に差し出して繋ぐ


双子との揺るがない絆を確認して口元が緩んだ








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