紅に染まる〜Lies or truth〜

ストレッチャーに乗せられた颯が処置室へ戻って来た時には

コルセットにガーゼと包帯でフランケン状態だった


「プッ、ウケる、プハハハハ」


お腹を抱えて笑うと
苦しそうに呻く颯


「肋骨5本やってるから笑わせてやるな」


木村院長も口元がニヤケている


「だがな・・・」


そう前置きした木村院長は
颯が上手に躱したお陰で
この程度で済んだと説明した


「あいつら容赦ねぇから」


悔しそうに呟く颯


「仕返ししてもらったんだろ?姫に」


「姫?」


「ここに居る田嶋の姫じゃ」


「あぁ、あの三人を床に沈めるのに三分と経ってねぇ」


「一平だって姫には敵わないよ」


そう言って笑う木村院長


「間違いねぇ」


何度も呟く颯の肩に


「そんな訳ないわよっ」


一発お見舞いした


「ヴッ、て、テメェ」


動けないフランケンが
片目の半分で睨んでも全く怖くなくて

兄と一緒に大笑いした


「ところで一平、なんで本家に?」


「あ、あぁ、咲さんからの電話」


癇癪を起こした娘を止めるために
兄を呼び出した母

たまたま近くに居たらしい?
いや・・・父に呼び出されたことを知っていたから近くに出張っていた?

渦巻く疑念は放置することにした

それより

颯の声で正気に戻ったことを聞いた兄は
複雑な表情をしていた

































< 58 / 227 >

この作品をシェア

pagetop