私は、この人の妻?

···陸人 side


海斗は、約束の時間には
到底間に合わない時間に
マンションを出た。

一応、俺も海斗もマンションを
別々に借りているが
海斗は、
ほとんど俺のマンションにいる。

海斗は、小さいときに
事故で両親を亡くし
おばあ様に育てられた。
厳しくも愛情を持って
育てられたと話していた。

そんなおばあ様からの
依頼を海斗が無下にはできない事は
わかっていた。
まして、おばあ様の親友の孫となると。

そんな俺の気持ちを考えて
海斗は、時間厳守の
おばあ様にわざと逆らったのだ。

海斗は、美形だが優しい男だ。

俺が、あの時に
巻き込まなければ
今頃は、結婚して子供が
いたかもしれない。
だが····海斗と····離れられない·····

「ただいま」
「えっ、海斗、どうしたの?」
海斗が、おばあ様のとこにいって
二、三時間しかたっていない。
「おばあ様のとこに行かなかったの?」
「いや、行った。」
「えっ、お見合いは?」
「ああ~······」
と、言いながらクスクス笑いはじめた
····っ······
海斗のこんな顔·····はじめて見た····
「なんか、変な女で。
わざと時間に遅れたのを指摘された
上に、思い人がいるか
恋人がいるなら
そう言えばよいのに
保育園児の方が良いと、さ
ふられてしまった。」
と、楽しそうに話しをした
だが、おばあ様の逆鱗にふれたのでは
ないかと心配になり
「大丈夫だったの?」
と、訊ねると
「まぁ、佐山の恥だと叱られて
     帰れとさ。」
「ええっ······」
「仕方ないよ。わざとやったのが
ばれているからさ。
お前が心配することじゃないよ。」
と、海斗は言いながら
俺を抱き締めてキスをした。

海斗に抱き締められると
ほっと安心するのに
今日は、なぜだか
抱き締められる事で
胸が締め付けられた。
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