10年前の君とビターな恋を
同窓会当日。本来なら私は仕事だったのだが、上司から、昔からの出会いは大切にしなさいということで、特別に有給を頂けた。ありがたい限りだ。集合は午後6時だから仕事はできると言ったのだが、遅れたら大変だからとの事。なんといい上司だ!!
ということなので、久々に親しくしている親友の優理と朝からショッピングに出かけている。
「蒼唯!今日は気合い入れないとだね!」
「どして?」
「そりゃー、同級生との久々の再会だし、みんなお洒落してるだろうし、それに会えるかもしれないじゃん♪」
「だ、誰に?」
「そりゃもー、あの人しかいないじゃん〜」
ドキッとした。優理にはお見通しみたい。実は今日は朝からずっとむずむずしているのだ。彼は、何故か成人式にも参加していなかったから、実に10年ぶり。だからなのか、さっきから緩んだ頬がなかなか直ってくれない。
「そのためにも、しっかりお洒落しないとね!蒼唯、最近忙しくてお洒落に手抜いてない?」
それすらも全部お見通しとは...。恐るべし親友よ。手を抜いた訳では無いが、お洒落を存分に楽しんでいた大学生の頃に比べると、明らかに劣っている...。
「仕方ないな〜!ここはデザイナーの力見せちゃおーかな〜」
そう。優理はファッションデザイナー。それも、かなり一流で、ファッションデザイナーでありながらパタンナーもてがけていて、上層部からの信頼も熱いらしい。優理の夢は、自分のブランドを立ちあげることらしい。
いつもお洒落を気にかけていて、いつも仕事に前向きに取り組んでいて、会えば仕事の話をニコニコとしてくれる。そんな頑張り屋な優理が私は大好きだ。
「じゃあ、おまかせしました。」
「任されました〜〜!」
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