真夜中だけの、秘密のキス
呆れたような笑顔を向けられ、ドクンと胸が高鳴った。
「髪、乱れてる」
体を離す際、ついでみたいに私の髪を撫で、整えてくれた。柔らかく、目を細めながら。
「あ……、ありがとう」
彼の笑顔が、私だけのものだったらいいのにな。
*
「おはよう、玲香ちゃん」
「おはよう」
教室に入り真っ先に声をかけてくれたのは、伊崎茉莉恵ちゃん。
清楚で真面目な雰囲気の女の子だ。
サラサラの黒髪と白い肌で、男子から密かに人気があるけど、彼女には付き合っている人がいる。
同じクラスの、榊野《さかきの》未来《みらい》君。
頭が良くて、皆から頼られている優等生。
優しい彼で羨ましいなって思うけど、彼氏を作るのは自分で努力するしかない。
「玲香ちゃん、見たよ。久木君と一緒に登校してなかった?」
「そうなの……今朝、たまたま会って。バレンタインのこと聞いてたんだ」
「やっぱりチョコ、あげるの?」
「うん。あげるつもり。中3のときは渡しそびれたから」
「今年こそ渡せるといいね」
茉莉恵ちゃんが優しく微笑んでくれて、勇気をもらった気分になる。
「髪、乱れてる」
体を離す際、ついでみたいに私の髪を撫で、整えてくれた。柔らかく、目を細めながら。
「あ……、ありがとう」
彼の笑顔が、私だけのものだったらいいのにな。
*
「おはよう、玲香ちゃん」
「おはよう」
教室に入り真っ先に声をかけてくれたのは、伊崎茉莉恵ちゃん。
清楚で真面目な雰囲気の女の子だ。
サラサラの黒髪と白い肌で、男子から密かに人気があるけど、彼女には付き合っている人がいる。
同じクラスの、榊野《さかきの》未来《みらい》君。
頭が良くて、皆から頼られている優等生。
優しい彼で羨ましいなって思うけど、彼氏を作るのは自分で努力するしかない。
「玲香ちゃん、見たよ。久木君と一緒に登校してなかった?」
「そうなの……今朝、たまたま会って。バレンタインのこと聞いてたんだ」
「やっぱりチョコ、あげるの?」
「うん。あげるつもり。中3のときは渡しそびれたから」
「今年こそ渡せるといいね」
茉莉恵ちゃんが優しく微笑んでくれて、勇気をもらった気分になる。