お医者さんとの恋[短編]
「花音ちゃんに嫌われてなくて安心した。
でも、ちょっと今から嫌われちゃうかもね 」
「あっ…、優希先生やめてー 」
でも、優希先生の顔を見て少し油断しているすきに、
腕を動かせないようにまっすぐに固定されてしまった。
ヒンヤリとする脱脂綿が腕に当てられると、さらに怖くなって、体を動かす。
「動いたら、もっと痛くなっちゃうからね 」
「グスッ、しないで 」
「ダメっ。変なところに刺したら本当に危ないから 」
固定されてない方の右手で、
優希先生の手を止めようとするけど、少し怒られてしまった。
「よしよし。花音ちゃんなら、頑張れるから」
それでも、私を励ますような優しい言葉をかけてくれて
一瞬私の力が抜けたときに針を入れられてしまった。