お医者さんとの恋[短編]
「花音ちゃん、治療すれば絶対治る病気だから大丈夫だよ。
治療だって俺がやるし、花音ちゃんが嫌がったとしても、責任持って治るまで診るから 」
こんなところで泣いちゃう高校生いないし、
自分でも幼稚園児みたいなことしているって
呆れているのに、
先生はイラついた顔をひとつもせず、私の前髪のあたりを撫でてくれた。
先生だって忙しいのに。
こんなワガママな私に優しく接してくれる。
そのことに、無性に申し訳なさと感謝の気持ちが溢れて。
「先生、ありがとう。ワガママばっかでごめんなさい 」
そう言うと、
「怖い気持ち分かるからこのくらい全然平気だよ。
でも、これから花音ちゃんに頑張ってもらいたいことあるから、ちょっとこっちおいで 」
優しい顔とは反対の恐怖の言葉が出てきて、
ヒョイと抱き上げられて、隣の部屋に連れて行かれてしまった。