黒王子の溺愛
ブラジャーを外されて、思わず手で胸を覆った。
一瞬だけ動きを止めて、柾輝はシュッと音を立てて、ネクタイを首から外すと、その美桜の手首をネクタイで縛ってしまう。

「や…柾樹さん…っ!」
頭の上で手首を抑え、二の腕をするっと通った柾樹の手の平は、惑うことなく胸に触れて、揉むようにされる。

「ん…んっ…あ、や…。」
今日は昨日のように、焦らすようなことなく、ちゅ…と音を立てて、胸の先端を口に含まれた。

余裕のあまりない様子で、ちゅ、ちゅ…と何度も音を立てて、吸われる。

「…っんん…は、…あ、あぁん…っ…」
貪るようにされて、美桜も声を堪えることが出来ない。

柾樹は美桜の胸元から、ふっと顔を上げた。
中指の背中で、そっと美桜の頬を撫でる。

その優しい感触に、美桜は柾樹を見つめた。
「感じてるのか?」

そう聞かれて、答えようもなく、うなずくことも出来なくて、ただ、目に涙を浮かべて見返すだけの美桜に、
「いやらしい女だな…。」
と笑って、また、胸元に顔を埋める。

「…柾樹さん…や、…手、外してください…」
柾樹は黙って、一瞬、美桜と目を合わせる。

その目元に浮かぶ涙を指で掬うと、何も言わずに唇を重ねた。

「…んん…っは…」
思ったよりも、情熱的に唇を奪われて、激しく口の中を弄《まさぐ》られる。

昨日はキスもしないまま、ただ、いかされただけだった。

キスをしながら、身体に触れられるのは、距離を近く感じて、求めたくなってしまう。
なのに、その手は封じられたままで。
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