黒王子の溺愛
部屋着のニットに着替えた柾樹が、キッチンにいる。
美桜も慌てて服を整えて、キッチンに入った。

「ごめんなさい。すぐ、支度しますね。」
「いや、ビーフシチューなんだな。美味そうだ。皿はこれを…」

そう言って、上の棚にあるシチュー皿を柾樹は2枚取り出した。
捲った袖から見える腕と、皿を取り出す仰のいた顎から首のラインが見えて、胸の鼓動が高鳴る美桜だ。

「ありがとう…ございます。」
「ん。ああ、ごめんなさいより、そっちがいいな。」

皿を持った美桜の頭を、柾樹がぽんぽん、と撫でる。

ふ…ふああ…?
頭、撫でられてしまった…。
なんだか、機嫌がいい気がする。

柾樹はダイニングテーブルに、ランチョンマットを敷いて、カトラリーレストを置いている。

その間に、美桜はシチューを温め直して、皿に盛り付けた。
他にもサラダや、バケットを用意する。

準備出来たものから、黙って柾樹はどんどん運んで、テーブルにセットしていく。
本当に、慣れているのね…。

「あ、柾樹さん、お酒はどうしますか?」
リビングにワインクーラーが置いてあるのだ。

「今日はいい。美桜もおいで。」
「はい。」
2人で向かいあって座る。
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