黒王子の溺愛
向かい合って座るのは初めてだ、と気付いて、美桜はどきん、とする。
「いただきます。」

自分の気持ちを誤魔化すように、慌ててそう言って、両手を合わせると、柾樹がそれをじいっと見ていた。

急に柾樹が美桜に手を伸ばすのに、美桜はびくん、となってしまった。

それを見た柾樹は苦笑する。
「なにも、しない。指、見せてくれ。」
「え?指…?」

今朝のことを思い出した。
「あ、火傷にもなってないですよ。」

柾樹が手を出しているので、見せろ、ということなのだろう、と思い、そっと、指先を乗せる。

そう言えば、自分で確認しないと気が済まない性格なのだった、と改めて思い出した。

美桜の指先を握って、柾樹はいろんな角度から、確認するように、ためすがめつ見ている。

「良かった…赤くもなっていない…」
「はい。きっと柾樹さんの手当てが早かったからですね。」

「今日は他の料理している時は?大丈夫だったか?」
「はい。あの、普段は本当にないんですよ!そういうこと。」

あと…指を握ったままでは…食事、出来ない…。
「けど、心配で。」
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