黒王子の溺愛
「美桜…?」
「あ、コーヒーお持ちしますね。」
「ん、頼む。」

やはり、昨日と同じように、柾樹はリビングの椅子に座り、タブレットを開く。

美桜はリビングのテーブルにコーヒーをそっと置いた。

「こちらに置きますね。」
「ああ、ありがとう。」

柾樹は難しい顔をしながら、タブレットを見ていたが、コーヒーに口をつけ、ふ…と顔を緩めた。

「美味しいな…。」
「良かったです。」

そのまま、仕事を続けるようなので、美桜もその場を離れて、キッチンに向かう。

「行ってくる。」
柾樹はキッチンにいる、美桜に声をかけた。

「あ…」
慌てた美桜はキッチンの出口で軽くつまづいて、柾樹に抱きとめられる。

「大丈夫か?」
「すみません。あの、本当に普段はないんです!こんなこと。」

昨日から、柾樹の対応が違うような気がして、嬉しいけれど、ドキドキして。
つまり、動揺しているのだ。

「分かったから。慌てなくていい。」
「はい。」
柾樹の後ろをついて玄関まで行く。
< 31 / 86 >

この作品をシェア

pagetop