鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
あたしが人だかりに近づくと、それに気づいたクラスメイト達が道を開けてくれた。

「あっえっ……?」

ありさじゃない。
それどころか……っ!

「よう、迷子の立花美空っ!」

人だかりの中心で、片手を上げて気さくに挨拶をしてきたのは、あの変なヤツだった。

「? ど、どうして? 」

色々聞きたいことはあるけど、どっから聞いたら良いのか分からなくてわたわたしてしまう。

そんなあたしを彼はニヤニヤ見つめている。

「立花さん、やっぱり転校生と知り合いだったんじゃないのっ!」

さっきの子が楽しそうに言う。

え、ちょっと待って、じ、じゃあさっきの推測、もしかして合ってた……?

「やぁ、今朝は助かった、
道案内ありがとうな、立花美空!

お礼したいから放課後空けとけよ、じゃあ」

さらっとそう言い残して、彼は去っていった。
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