HOME〜私と家族〜
レポート3
さすがにこんなことは絵梨にも言えない。
どうすればいいのか。

何も知らないシンだけが不思議そうな顔をする中、私とタクは妙にぎこちない朝食を終えて、いつもどおり別々に登校した。
まずい。
このままじゃシンにもお姉ちゃんにも怪しまれる。
だからって…どういうつもり?なんて聞けやしない。
思い出すだけで顔が熱くて、むず痒い何かが背をかける。
ジンジンと、痛みとともにうずく人差し指。

「最近なにか思いつめてない?」
「絵梨…いや、別に」
「ならいいけど。話したくなったら話してよね」

絵梨もなにか異変に気づいているみたい。
無理やり聞き出さないでくれるのがありがたいけど、当分言えそうにない。

「で。あそこで待ってる彼はなに?」
「えっ?」

絵梨の指差す方を見れば、キョロキョロ教室内を見渡すタクの姿が。

「…私、だよね」
「以外ありえないでしょ」

最近は教室に来ることがめっきり減ったせいか、女子たちが少しざわついている。

「…どうしたの」
「ああ、いや。美穂さんが弁当間違えたっぽい」

ん、と掲げられたお弁当箱に、あっと声を上げる。
私も慌ててお弁当箱を開けると、タクの言うとおり、中身が逆だった。
具体的には、ご飯とおかずの比率が逆。
私のはおかず重視で、タクのはご飯重視。
タクにはデザートもつかない。

< 11 / 37 >

この作品をシェア

pagetop