御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
「君が神宮寺くんの長男だね」

「はい。神宮寺翔と申します」

「お父上とこの前お会いした時に帰国されると聞いてな。突然申し訳なかったね」

遥は内心思う。全く悪いと思ってない癖にと。

「いえ。こちらからご挨拶にお伺いするべき所をすみません」

「いやいや、気にすることはない。しかし、男前じゃな。ご結婚は?」

「いえ。何せ海外にいましたもので、これから良い出会いがあればと思っております」

「そうかそうか。うちの孫なんてどうだろうな…」と公造は言った所で、遥からの冷たい視線を感じ話を止める。

「ハハッ。縁があればいいのですが」翔も顔も知らない女性を薦められ顔が引きつる。

終始公造のオーラに圧倒される。
初めて間近接して、改めて西園寺公造の凄さを感じたのだった。

30分位、世間話をして帰る公造。
特に仕事の話もしていないのに、何故か満足気な公造と何故アポなしで来られたかわからない神宮寺親子。

「親父、どう言うことだ?」

「いや、急に来られる理由が全くわからない」

遥だけが、状況を理解していたのだった。

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