離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
幸せの行方
私が彼の秘書に就いた時は『高屋』にとって大きな転換期の時期だった。
不動産賃貸業・SCディペロッパーの「エルネ」と業務提携を結び、新たな業態開発に力を入れ、ビジネスモデルの構築を試みた。

老舗百貨店の威信を頑なに護っていきたい社長や上層部の人間との軋轢を副社長のそばでずっと見て来た私。『高屋エルネ』のオープンを心待ちにしていた。

でも、私以上に雅樹さんの方が感慨はひとしおだと思う。


オープンに先駆けて、明日はVIPのお客様を招待したプレオープンの日。

私と世良さんは雅樹さんの後に付き、店内の最終チェックに回った。

「ようやく副社長の待ちに待った日が来たんですね…」

「世良お前もそうだろ?」

「まぁ~高屋さんだってそうですよね…」

「・・・へっ?」

高屋さんと呼ばれ、まだ不慣れな私は変な声を出し、返してしまった。

「ぷっ」
と雅樹さんは私の声に笑った。





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