離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
「梓!?」

俺のカラダの上に乗り掛かる梓。

梓の表情は倒れた俺のカラダの心配で満ちていた。

「貴方だって…分かってるでしょ?」

「何を?」

「・・・自分一人で大きくなったんじゃないって… 『高屋エルネ』だって皆と一つになって作り上げたモノ。違いますか?雅樹さん」

「そうだよ…皆と作ったモノだ。俺一人ではあんな大きなプロジェクトの成功はなし得なかった」

「…なら、貴方だって…一人で大きくなったんじゃないって分かってるはず」

「…梓…!?」

梓の瞳には涙が溢れ返っていた。
俺が一番見たくない梓の泣き顔。でも、その涙が俺の為に流してる涙。

こんなに感情的に熱く俺を叱ってくれる人間は今まで居なかった。


どうして他人の俺にそこまで親身になってくれる?
一年先には離婚して赤の他人に戻ってしまうのに。
そんな不実な提案をした俺に…

俺は梓の言う通り全部分かっている。
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