予想を超えた政略結婚
夜な夜なリビングで
話してると言ってたから何気なく
こっそりとリビングに降りてみた。
「私には言えないわよそんなこと
あなたは言えるの?」
「ワシも言えん
娘を犠牲になんてできない」
「でしょう!だったらもう
手放すしかないわよね」
「•••••はぁ•••ワシの代で•••
ご先祖様になんてお詫びしたらいいか
子供達にはこれから
不自由な暮らしをさせないと
いけないと思ったら•••」
「わかってくれるわよあの子達も」
「なぁ•••ワシの保険って何社かけてる?」
「え?」
「ワシが死んだら保険金が入るだろ
それで何とか払えるだろ
それならここも手放さなくても済むだろ」
「な!!!何考えてるの!」
母の怒鳴り声と同時に
外で聞いていた私も
「何話してるの!!!
何縁起でもない事を言ってるわけ?」
とリビングに押し入った。
「あ・・・玲華 いやあのー玲華」
いきなりの私の登場に驚いて
意味のわからない「あの」とか
「その」とかしか出ない父。
「何でもないのよ」
「何でもなくない!!!
手放す?保険金?なに?
自殺でもするつもり?」
「全部話して聞かせて」
2人の前に座り込んだ。
自宅とお店の改修工事で
銀行から多額のお金を借りたが
世界がコロナ禍に入り
お客が激変
各観光地に卸していた和菓子もストップ
貯金を崩して支払いをしていたが
もうその貯金も底をついたと言う。
もうお店をたたむしかない
そう思って覚悟をしていると言うのだ。
「あたしも返済に協力するから」
「そんな玲華が
払えるような額じゃないんだよ
その言葉はありがたいが」
「さっき娘を犠牲にできないって
言ってたけどそれはなに?」
「何でもない!」
「何でもなくない!!!
もうこの際だから何でも話してよ」
2人が黙り込んだ。
そして何分間の沈黙の後
父が「お前を嫁に欲しいと•••」
父の口から出た言葉に
一瞬頭の中が真っ白になった。
「え?あたしを?一体誰が?」
「お父さん!それは言わないで」
母は止めようとしたが父は続いた。
「銀行の頭取の孫息子の嫁になったら
借金返済を免除もしくは
半分にしてくれると言うんだよ」
「えっ。。。」
そんな多額な借金と引き換えに
私がお嫁に行くということ。