予想を超えた政略結婚


顔合わせの日がやってきた。


「玲華すまんな」
覚悟を決めてる私の横で
申し訳なさそうな顔を見せる父だが、
私は父とは逆にまだ見ぬ相手との
出会いに楽しみなのだ。


私は和菓子屋の娘らしく
髪を一つにまとめて二十歳の成人の日に
初めて袖を通した振り袖を着た。


通された部屋にはもう
頭取の田中氏は到着していた。


「田中さん
この度はお世話になります
これが娘の玲華です」


いきなり紹介するものだから
少し焦ったが
「小園玲華と申します
この度はよろしくお願いします」
と深々と頭を下げた。


「いやいや小園さん
こちらこそありがとうだよ
思った以上の品のある娘さんで
孫息子もきっと気にいるだろう」


「そう言ってもらえて嬉しい限りです」


他愛もない話を続けていると
ふと田中氏は時計を見た。


予定時間15分前、娘夫婦に当の本人
孫息子も現れない。


5分前慌てた様子で
娘夫婦がやって来た。


「遅れて申し訳ございません」


「何やってんだ!
時間にルーズなのは嫌いだと言ってるだろ!
それにあいつはどうした?
ここに来て逃げたのか?」


「いやいやそれが」


仕事の相手先がどうしても
今日の日ではないといけない
と連絡して来て速やかに商談を済ませ
向かってる途中の交差点で
信号待ちをしていると
後ろから追突されたという
幸いに大事故では無いようだ。


「全く!!!
そう言うことが
あいつの運の悪さなんだよ!」


追突事故にあったのに体を心配せず
激怒する田中氏に父は
「田中さん落ち着いてください
こればっかりはお孫さんを責めるわけには
いかないですよ
また日を改めることにしましょう」
と宥める様に話した。


それから向こうのご両親と
私たちと肩苦しい食事を始めたが
父たちはゴルフの話
母たちはグルメの話で盛り上がり
私だけ取り残された感じだった。


男達はお酒も入り陽気な気分
田中氏は「親同士も共通の趣味で
意気投合していい親戚付き合いが
出来そうだな」とご機嫌な様子。


「悪運のあいつは今何してるんだ?
事故処理終わってたら
来れるんじゃないのか?
あいつに電話してみよう」
と電話を取り出して孫に
電話をかけた。



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