黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 それでも気持ちはおさまらず、乱れた呼吸を吐き出しながらその手を見下ろしていると、佐原の体をきつく抱きしめた感触を思い出す。
 
 俺の腕の中で、佐原は緊張で体をこわばらせていた。
 触れた場所から伝わる鼓動や、高い体温を、今でもはっきりと覚えている。
 ちらりとのぞく背中や肩、そして首筋は頼りなく思えるほど華奢で白かった。

 あの夜俺は、『万が一のときでも、絶対にお前を守ってやる』と佐原に約束した。

 軽い口調だったが、冗談じゃなかった。
 佐原が大切だから、なにがあっても守り抜くと真剣に思っていた。

 五年前、俺は目の前で先輩の大崎さんを失った。
 もう、あんな思いはしたくない。絶対に彼女を失いたくない。

 俺がきつくこぶしを握り締めたとき、脳裏になにかがきらりと光った。
 俺ははっとして顔を上げた。
 
          





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