黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 私の頬を包んでいた伊尾さんの手に、今度は前髪をかきあげられた。

 私の表情を観察するようにじっと見つめられ、緊張と体温が同時に高まる。

「い、いえ、なんでもないですっ!」
「なんでもないって、顔が真っ赤だぞ。熱でもあるのか?」

 私の顔が赤いのは、伊尾さんがそうやって触るからに決まっているじゃないですかっ!

 心の中で文句を言ったけれど、言葉にできるわけもなく、私はぐっと唇を噛む。


 ちょっと触れられただけで、こんなにも動揺している自分が恥ずかしい。

「とりあえず、傷口にガーゼか絆創膏でもはっておけ。どっかに救急箱あったよな。今探して持ってきてやるから……」

 言いながら事務所内を見回した伊尾さんのスーツのすそを、私は掴んで引き留める。

「救急箱のある場所なら知っているので、自分で出します!」

 そう言って、真っ赤になった自分の顔を隠すように伊尾さんに背を向けた。

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