黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「受け入れるもなにも、俺は恋愛も結婚も興味がない」

 そう言う俺を見て、藍川は目を細める。

「伊尾は本当に不器用だな」

 その声には、同情が滲んでいた。

「それよりも、押収した覚せい剤の鑑定結果が出たんだろ」

 俺が話題を変えると、藍川はあきらめたように肩を上げた。

「あぁ。今回は香港製だね。売人はクスリの入手元を吐いた?」
「いや、まだだ。暴力団とは繋がっていないし、海外から個人で密輸しているわけでもない。国内に供給源があるはずだ」
「それじゃあ、いくら末端の売人を捕まえても、大元を押さえないと意味がないね」

 藍川の言葉にうなずく。

「そういえば美緒ちゃんが、洋上取り引きじゃないかってつぶやいてたけど」
「たしかに、横浜分室から捜査が空振り続きだって報告があがってたな。売人にクスリを流している大元はそこかもしれない」

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