黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 言いながら私が着ていた上着を脱ぐと、伊尾さんがこちらを二度見した。

「佐原、なんだそのかっこう」
「え?」

 おもいきり眉をひそめる伊尾さんに、慌てて自分の体を見下ろす。

 今日着ているのは、恵に選んでもらったワンピースだ。

 かわいらしいけれど控えめなピンクベージュのノースリーブのワンピースは、シンプルなデザインだった。

 デコルテのあたりが横に広く開いていて、腕や肩が華奢に見えるらしい。
 
 恋愛経験豊富で男心を熟知した恵に、『清楚だけど、胸の形もウエストのラインも綺麗に見えるし、これなら男受け間違いなしだから!』と強引におすすめされた服なんだけど……。

「へ、変ですか?」

 不安になりながらたずねると、伊尾さんが不機嫌な表情で視線をそらした。

「変ではないけど」
「じゃあ、なんですか?」

 不満そうな伊尾さんに私がくいさがると、彼は視線をそらしたままつぶやく。
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