ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
「あっ…」

目の前の光景にはっとする。


広いベッドの奥の端に、その人は背中を向けてすやすやと寝息をたてていた。
伏せられた目は、おもいのほか睫毛が長くて、薄くて綺麗な唇にすっととおった鼻筋、無防備で可愛らしいが男らしくてだけど…とても綺麗な寝顔。。

ドキンと音を立てた心臓に、今はそれどころじゃないとわかっているのに彼の寝顔から目が離せない。


静かにベッドに登り、彼の側に近寄りそっと寝顔をのぞきこむ。


「ん…」

その瞬間、くるりと寝返りを打った彼の口から

「とも…は…」

漏れ聞こえた微かな声に、叫びそうになった声を慌て両手で口を押さえ押し留めた。

いったいどんな夢を見ているのだろう。

本当にこの人に心から愛されたら…。

この腕の中で眠りにつけたらどんなに幸せなんだろう。


これが偽りではなく本当に愛された結婚なら…。

一人になることの恐怖から急に沸き上がってきた目の前の人への感情を、打ち消すように大きく左右に頭をふる。

口元の手はいつのまにかぎゅうっと胸元の服を握りしめていてそっと伸ばした手が大知さんを揺り動かした。

「大知さん、すみません、起きてください!
大知さんっ、起きてっ!!」

肩を揺すった大知さんは、微かに目を薄く開くと

「う…ん…。……とも…は?」

そう呟くと

「きゃあぁ!」

私の腕を掴みそのまま布団の中に引きずりこむと、ぎゅうっと私を抱きしめ頬ずりをして

「ともは…」

と甘えるようにすり寄った。
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