冷酷御曹司と仮初の花嫁
それだけ言った佐久間さんはそれ以後は何も言わずに、窓の外を見ていて、私は無言の空間を邪魔しないように、身を縮めるしかなかった。居心地の悪さを感じ、タクシーを五分くらい走らせた場所にその場所はあり、タクシーを降りてから、見上げると、聳え立つマンションが圧倒的な存在感を示していた。
「ここですか?」
「ああ、ここの最上階と言いたいところだけど、違うから。34階に自分の居住用の部屋と、仕事に使おうと思った部屋を持っている。君が結婚に応じるなら、その仕事に使うつもりだった部屋を提供するよ。まだ契約をしただけで全く使ってないから」
この人がお金持ちの御曹司であるのも分かっていたし、さっきの提示された条件の中にマンションという言葉も出てきていた。でも……。このマンションは異次元過ぎた。
「ここですか?」
「ああ。会社に近いからここにしただけだよ」
私はそのマンションのエントランスの広さと豪華さに圧倒された。会社に近いという理由だけでこのマンションを選んだというのが庶民とは考え方が違う。
佐久間さんはマンションの中に入り、エレベーターに乗り込むと高層階のボタンを押した。無言のままのエレベーターの箱の中で私は息が詰まりそうになる。もうそろそろ苦しいを思った瞬間にドアが開いた。
モノトーンでシックな装いのマンションの廊下は大理石には磨かれ、先を歩く佐久間さんの靴音と、少し擦るような私の草履のような音が響く。知らない人のマンションに連れていかれるというのに何だか、妙に落ち着くのは、これが現実とは思えない状況だからかもしれない。
私は彼の背中を後ろから見ると横に座っていた時には分からなかったけど、背が高く、広い背中をしていた。少し長めの髪は整えられ、艶やかだった。
「ここですか?」
「ああ、ここの最上階と言いたいところだけど、違うから。34階に自分の居住用の部屋と、仕事に使おうと思った部屋を持っている。君が結婚に応じるなら、その仕事に使うつもりだった部屋を提供するよ。まだ契約をしただけで全く使ってないから」
この人がお金持ちの御曹司であるのも分かっていたし、さっきの提示された条件の中にマンションという言葉も出てきていた。でも……。このマンションは異次元過ぎた。
「ここですか?」
「ああ。会社に近いからここにしただけだよ」
私はそのマンションのエントランスの広さと豪華さに圧倒された。会社に近いという理由だけでこのマンションを選んだというのが庶民とは考え方が違う。
佐久間さんはマンションの中に入り、エレベーターに乗り込むと高層階のボタンを押した。無言のままのエレベーターの箱の中で私は息が詰まりそうになる。もうそろそろ苦しいを思った瞬間にドアが開いた。
モノトーンでシックな装いのマンションの廊下は大理石には磨かれ、先を歩く佐久間さんの靴音と、少し擦るような私の草履のような音が響く。知らない人のマンションに連れていかれるというのに何だか、妙に落ち着くのは、これが現実とは思えない状況だからかもしれない。
私は彼の背中を後ろから見ると横に座っていた時には分からなかったけど、背が高く、広い背中をしていた。少し長めの髪は整えられ、艶やかだった。