誰にも教えてアゲナイ!
ブレザーを脱ぎ、シャツの袖を捲くり上げて、カチャカチャと皿を洗っている彼の後ろ姿。

よく見ると身長高いじゃん。

「百合子、洗ったよ。フキンはどこー?」

「これはこうして、自然乾燥っと♪」

洗いカゴに伏せて置き、自然乾燥が一番。

楽が大好きなんだもんっ。

「…百合子、実は…面倒くさがりや?」

「うんっ、何でも楽して生きたいのっ」

人生、楽して生きたい。

努力なんてもってのほか!

適当に働いて、適当に遊ぶ。

お金は大好きだけど、自分の容量をオーバーしてまで稼ぎたくない。



狙うは一攫千金……だね。



この子、将来有望かな?

拾ったのはいいけど…可愛いだけじゃ駄目だよね、やっぱり。

将来、結婚まで辿り着く相手が現れた時はそこそこイケメンなハイスペックな男性を希望する。そして、憧れの専業主婦になりたい。

今まで出会った男達は顔だけの男が多かったから、別れて正解だ。

高校生ならば、これから伸び代もあるし、目指すべき道がどうなるか気になる。

それなりに使えなくちゃ、今後の生活に支障をきたすよね。

他にハイスペックなイケメン男性が現れなければ、この子を手懐けて、自分好みに育てるのも……アリだよね?



「百合子ぉ、デザートはぁ?」

「はぁ?デザートまで、ねだるわけ?」

「果物がいいなっ!」

「林檎しかないよ、食べたきゃ自分で剥けばっ」

「百合子は本当に面倒くさがりだねっ。いいよ、自分で剥けるからっ!」



面倒くさいのもあるけどさ、図々しすぎないか、コイツ!

可愛いからまだ許すけど……!

しょうがない、御手並み拝見してあげる。
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