君は私の唯一の光
それから、ユウナさんとヒナちゃんは帰って行って、私たちも、また昼食を開始した。




昼食が終わったら、丁度由奈さんが来て、いろんな機械をとってくれた。





「あんまり油断しちゃダメだからね。」




「はーい。」




「顔色いいから、しばらくは大丈夫だと思うけど。」




「本当?やった!」




「じゃあね。昼食の、持っていくから。」




「お願いします。」




重い機械がいっぱい取れたから、すごく体が軽い。今なら、歩いてもいいよね。




ベットから慎重に足を出して、サンダルを履く。




「え、おい。乃々花、大丈夫なのか?」




「うん。」




ゆっくり、洸夜くんの方に歩みを進める。ベットサイドの椅子に腰かけれて、安心した。



普段からトイレに行くのも、誰かが一緒の時しかなかったから。1人で歩くって、本当にいつぶりだろう。




「大丈夫?」



私が急に歩いて、洸夜くんは不安げだ。




「大丈夫!」




「そっか。」




私が返すと、洸夜くんもやっといつもの眩しい笑顔を見せてくれた。




「ねえ、ユウナさんとヒナちゃんって、名前どういう漢字?」




「え?名前の漢字?」




「うん。なんか気になって。」




『ユウナ』と『ヒナ』って音が似てるし、兄妹とかで漢字が同じだったりするし、名前って面白いんだよね。




「紙とペンがそこにあるはずだから、とってくれる?」




「この引き出し?」




「そう。」




引き出しの中には、教科書やノート、いろんな本、小さめのメモ帳、筆箱が入っていた。学校に通うって、こういうものが増えてくんだよね。少し、羨ましい。





「はい、どうぞ。」




「ありがと。」




受け取ると、すぐにベットについてる折りたたみ式の机を出して、書いてくれた。




「ん。これが、姉貴と陽菜の字。」




『夕菜、陽菜』




「2つとも、『菜』が一緒なんだね。あと、『夕』と『陽』も、太陽のことだよね。」



「うん。姉貴は、夕日みたいにキレイで、みんなから好かれるような人になるようにってつけられたんだよ。陽菜は、太陽のようにみんなを照らすような人にって。」




「どっちも、すごくいい名前だね。そういえば、洸夜くんは?」



「え、俺?」



「うん。」




洸夜っていう漢字は、ベットについてる名札でわかるけど、意味って、どんなのなんだろう?




「俺は、夜の闇の中に光る星とか月みたいにいろんな人に希望とかを与えられて、導けるような人になれるようにって。あと単に男は、うるさそうだから、夜みたいに静かになれっていう意味だったらしい。」




「……………。」




「乃々花?あー、似合わない意味で拍子抜け?」




「全然違う!すごく、その通りだって思ったの。」




だって、私が前より笑えて、明日が楽しみだなぁとか、未来に少しだけでも希望が持てるようになったのは、明らかに洸夜くんのおかげで。たった1日で、私の考えを少しでも変えれたのは、家族でもなく、由奈さんでもなく、洸夜くんで。




洸夜くんが、こんなに素敵なのは、名前からそういう意味を持ってたからだよね。きっと。




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