君は私の唯一の光

君と私は不釣り合い said 乃々花

『ごめん!今日行けなくなった。担任に呼び出し()らっちゃった。明日は、絶対行くから!』




午後1時をまわった頃、静かな病室に着信音が響き渡った。差出人は、洸夜くん。内容は、“今日は行けない”ってこと。




今まで毎日来てくれてから、寂しい。でも、無理もしないで欲しかったから、丁度いいのかも。




『わかった。また、明日ね。』




返信してから、後悔した。




「スタンプとか絵文字って、使うべきなのかな………?」




家族としか、した事がなかったから、わからない。ただ……女の子って、使いそう。偏見(へんけん)かな?



悶々(もんもん)と悩んでいたら、病室の扉が開いた。


洸夜くん……ではないから、由奈さんかなと思って、そっちを向いたら、いたのは……。



「松原さん?」


「久しぶり、乃々花ちゃん。」



怖い笑みを浮かべた、松原寧々さんだった。





「あ、お久しぶりです……………。」



最後に会った時と変わらず、威圧(いあつ)的なオーラを(かも)し出している松原さん。少し……いや、かなり怖い。笑顔も含めて。



「今日、洸夜はここに来れないんだって。」


楽しそうに言う松原さんの真意がわからない。


「はい……。さっき、連絡が来ました。」


急に笑みがなくなって、目つきからも怖くなった。


「は?乃々花ちゃん、洸夜と連絡とってんの?」


「え、はい………。」



事実を言っただけなのに、キレられたのかな?「チッ」って聞こえた気がするんだけど………?



「あのさ、洸夜とどういう関係?」


「どういう…………?」



どう言ったらいいんだろう。洸夜くんは、学校の人に話したのかな?でも、だったら松原さんも知ってるだろうし………。ってことは、言ってないのかな?



「ただ、1か月間同室で過ごしただけです………。」



とりあえず、そう返した。松原さんの様子を伺う。すると、大声で笑い出した。



「付き合ってるって言わないんだぁ〜。洸夜は学校で、自慢ばっかりしてるのに。」


「え?」



洸夜くん…学校の人に言ってたんだ。しかも、自慢って。どうしよう、すごく嬉しいかも。



「でも、貴方(あなた)はそうじゃないんだね。」


「え?」



“貴方”…………。呼び方が変わって、さらに怖さが増した。なのに、これ以上ないほど、楽しそうに口角(こうかく)を上げている。



「自分で、“洸夜と釣り合ってない”っていう自覚あったんだ。」


「…………。」



「そんなんだったら、早く洸夜と別れた方がいいよ。」




確かに、釣り合ってない自覚はある。自分と洸夜くんに、どれだけ(みぞ)があるのかも、たぶん私が1番わかってる。

でも、それを松原さんに言われる筋合い、ないよ。



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