君は私の唯一の光

君らの奇跡

【said 由奈】




乃々ちゃんが手術を受けて、6日。



未だに目を覚さない乃々ちゃんに不安がある。




毎日、学校に行くギリギリまで病室にいる洸夜くんにも、胸が痛む。





深田先生も、このままじゃ難しいって嘆いてた。





乃々ちゃんは、小さい頃から、活発で明るい、素直ないい子だった。ただ、歳を積むにつれて、だんだん暗くなってしまった。誰のせいでもないのは、全員がわかってた。でも、不甲斐なさ、やるせなさは、みんなが感じていた。





洸夜くんのおかげで、昔の笑顔を取り戻した乃々ちゃんは、人生を前向きに送ってくれた。






それだけでも、私には大きな変化であって、心の底から嬉しかった。





それに加えて、手術も受けるなんて。希望を持ってくれた乃々ちゃんの行動力・決断力に驚かされるばかりだった。洸夜くんの力にも。





ただ、“嬉しい”と同時に、やっぱり“不安”が付き纏った。もし手術が上手くいかなかったら……なんて、縁起でもないことを思ってしまった。





実際、成功したは良かったものの、目を覚さないという結果。





目覚める可能性も、極僅か。





こんなことってあるの?




なんで、乃々ちゃんがこんな目に……。




そんな暗い気持ちで、乃々ちゃんの病室に行く。洸夜くんは、今日もいるのかな?




現在、午前6時。




静かな乃々ちゃんの病室を前に、ため息をつく。“看護師は、常に笑顔でないといけない”、その言葉通りに、笑顔を作った。






検査用のワゴンを押しながら、ドアを開けた。






そこには、抱き合っている男女。






「し、失礼しましたっ!」




勢いよく扉を閉める。え、今のなに?ここって、乃々ちゃんの病室じゃないっけ?




札をみても、『桑野乃々花』と記載されている。……明らかに、乃々ちゃんの部屋。





もう一回、そ〜っと開いて見る。





中には、頬を赤く染める洸夜くんと、乃々ちゃんがいた。






「お、おはよう……?」





「おはよう、ございます……」





「……」





妙な空気が澱む中、私は、あることに気づいた。





「あれ、乃々ちゃん……目、覚めたの?」





「あ、はい!」






ニコッて笑う乃々ちゃん。それは、手術前に何度か見せてくれた、心からの笑顔。






「……乃々ちゃんっ!!」





ワゴンを押しのけて、乃々ちゃんの元に駆け寄り、ギュッと抱きしめた。





咄嗟にしてしまって、自分でも内心焦る。




でも、離せなかった。乃々ちゃんをハグしたまま、大泣きした。子どもみたいに。




乃々ちゃんは、戸惑いつつも、そんな私の背中をさすってくれた。






「ほんと、よかった……」





「由奈さん、ありがと。」





乃々ちゃんの幸せそうな声が耳に響く。




もうダメだと、誰もが諦めていても、繋ぎ止めたこの生命。





本当に、君たちの力は計り知れない。





そしてそれは、奇跡をもたらすんだね。
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