君は私の唯一の光

君との未来

【said 乃々花】




11月20日。今日は……ついに、私の退院日です!




朝から、由奈さんは号泣してくれてます。



「うぅ〜、乃々ちゃんが、いなくなっちゃうぅ〜〜(泣)」




嬉しいことに、こんな私がいなくなることに泣いてくれる人がいるのです。





「乃々花ちゃんが元気になってくれて嬉しいけど、寂しいよ。」




先生方も、お忙しい中来てくれて、ありがとうございます!




お父さんもお母さんもお兄ちゃんも来てくれて、桑野家集合です。それに、洸夜と夕菜さん、陽菜ちゃんも来てくれました。




「乃々、これに着替えておいで。好きかわからないけど、とりあえず。」




「……うん。」




私服なんて、ほぼ初めて着る。記憶の中では、本当に初めて。ずっと入院着だったから。




お母さんが持ってきてくれたのは、モノトーンのワンピース。好き嫌いが少なそうなデザインからして、お母さんが悩んだんだろうっていうのは、よくわかった。




着替えてみんなの前に出ると、時が止まったように静まり返った。



……着方、変だったかな?



そう思ったのも束の間、一気にワッと盛り上がった。





「めっちゃかわいい!似合う!」




「ののかおねーちゃん、きれい。」




「さすが、俺の妹。」




「サイズぴったりでよかった〜。」




「リズに似てるな。」




唯一、反応してくれないのは、洸夜だけ。口元を手で覆っている。1番感想聞きたいのに、聞きづらい。




「あの、洸夜?」




目の前まで行くと、洸夜は顔を赤く染めた。え……?




「洸夜?」




体調でも悪いのかな……?とも思ったけど、次の瞬間、そんな考えは脳内から吹っ飛んでいった。




「……乃々花、かわいすぎだし。」




なぜか照れたように言われて、こっちにも移る。頬が熱くなった。




「あ、ありがとう……」




無言で見守るみんなの視線が恥ずかしい。





そんな思春期の想いを抱えながら、私は、10年間過ごした病室と病院を後にした。


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